傾聴とNLPのLAWモデル

コーチングやカウンセリング
または1 on 1 MTGなどで出てくるキーワードに
「傾聴」というのがあります。

傾聴の定義ややり方などは数多あり
私自身が20代の当時、

産業カウンセラーの勉強をしていた頃から、
傾聴の効用を実感していました。

著者:足達 大和
全米NLP協会認定
NLPマスタートレーナー

当メディアサイトの運営元である「NLP-JAPAN ラーニング・センター」の専属トレーナー。
5,600回以上という圧倒的な回数の研修実績を持つ。

NLP-JAPANラーニング・センターとは、日本最大手の「NLP総合スクール」で、NLP業界の世界5大組織と連携。日本で唯一、NLPの基礎から大学院レベルまでの学びを提供している日本最高峰のNLPトレーニング機関。

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次元が違うNLPのLAWモデル

その頃同時にNLPを学んでいたのですが、その時はこのモデルを知る機会はありませんでした。

それもそのはずで、30年以上も前の、日本のNLPといえば、言葉の表面的な意味を知っていても、コーチングの世界やセラピーの世界について深い経験を持っていた方は少なく、

コーチングやセラピーの先生方ですらも、NLPのことを知っているかというと、全くもってそんなことはなかったからです。

そんな時代から月日が経ち、NLPの世界的権威の先生方とお仕事をするようになりました。

そこで学んだスキルやセンス、そして表には出てこない開発当初の歴史や背景まで教えていただき、NLPの内容の次元の高さ、洞察の深さ、そして数多くの現場経験からくる豊富な内容を学びました。

スマホやパソコンがなかった時代と現在。
飛行機や車や電車がなかった時代と現在。
火がなかった時代と火が当たり前になっている現在と。

表現は大袈裟ですが、私にとっては、
世界のNLPを知った時は、それほど衝撃的でした。


お相手の話をきくといったとき、事柄をきく、感情をきくといった「傾聴」は皆さんも聞いたことがあると思いますが、

「NLPヘルスサーティフィケーショントレーニング」で教わるLAWモデルは、まさに先ほどの時代の違いと同じレベルで別格の学びでした。


コーチの基本は傾聴。
世界トップクラスの基本はLAWモデルと言われます。


今回ご紹介するのは、NLPだけでなく、コーチング業界のカリスマでもいらっしゃるティム・ハルボム先生とクリス・ハルボム先生から教えていただいたことです。

よく何を学ぶかより、誰から学ぶかが大事と言われますが、世界の権威でいらっしゃるので、「誰から」という部分はもちろん、お二人からは、「何を」という部分も、想像を超えるほど、期待以上の深い学びをいただきます。


世界のトップクラスの人たちが、ただ人の話を聞いているだけでなく、LAWモデルを意識して情報収集されているからこそ、カリスマとなり、世界中の多くの人のモデルになったのだなと思います。


ここではNLPの中で、傾聴を意味する世界トップクラスの人たちが意識する、「LAWモデル」の一部についてお伝えします。

※ある程度基礎的な内容を知っているとすぐに実践が可能です。

初めての方は、用語を説明した記事のURLを載せていますので、そちらも参考にしてください。

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LAWモデル
本人も気づいていない深いレベルで相手を理解する

LAWモデルとは、Listen Ask watchの頭文字です。
今回は、Listenの部分にあたる、

  • 相手の言葉
  • 言葉の順番
  • 相手のメタファー
  • 二次利得
  • ニューロロジカルレベルの階層情報
  • メタプログラム

以上の項目についてお伝えします。

■相手の言葉

人は起きた事実を話しますが、多くの場合、解釈や意味づけで物事を描写し、表現をします。

例えば「苦しいです」といった時と、「苦しかった」というときでは、現在感じているのか、過去のものになっているのかが異なります。

つまり時制と呼ばれる「お相手の状態」という情報が手に入るのです。

またご担当していただいているNLPだけでなく、コーチングの世界でもカリスマなティム・ハルボム先生が、次のような例を使ってお話しされました。

あなたが放つ言葉は、自分にも、相手にも、想像以上の影響を及ぼします。

胃カメラの検査で言えば、「鼻の中に管を突っ込む検査です」と言うのと、「鼻の中に管を滑り込ませる検査です」では、違いが生まれます。

なんとなくで大丈夫ですが、伝わるでしょうか。

小さなことですが、相手がどんな言葉を使っているかによって、そこで体験している内容が変化し、お相手が物事をどのように捉えているのかという情報を理解することができる、ということです。

■言葉の順番

言葉の順番に着目することで、相手はどんな構成で話をしているかという情報を手に入れることができます。

簡単にお伝えすると、話し言葉の順番です。

この順番は、その人の感情や心の状態を表すシグナルになります。


例えば、「旅行に行きたい」という言葉と、「時間がない」という言葉があったとして、ここは実際に声に出していって欲しいのですが、

「旅行に行きたい」「時間がない」という順番で言った時と、「時間がない」「旅行に行きたい」という順番で言った時では、言い終わった後の心や体の感覚が違ってくるはずです。

「痩せたい」「食べたい」の順番と
「食べたい」「痩せたい」の順番も
同じように言った後の感覚が異なります。

どのような順番で、言葉を発しているのかを理解していくことで、相手の状態を認識していくことができるということです。

■相手のメタファー

メタファーというのは、「比喩/例え」のことです。

  • 肩の荷が思い
  • お先真っ暗
  • 仕事で首が回らない
  • 人生崖っぷち

といった表現を私たちは使います。

ただ、実際は、

  • 肩の上には何も乗っていません
  • 明るいところでも、お先真っ暗になります
  • 首は健康な人なら、ぐるぐる回ります
  • 崖に行かないと、崖っぷちにはなりません


このように私たちは、心理状態をメタファーで表現することがあります。

NLPでは、この表現されるメタファーから、相手に何が起きているのか、どんな心理的状態にあるのか、等の貴重な情報を理解することができます。


これはサブモダリティと言われるものを駆使して、相手の内部に起きている状態を五感で表し、
そのサブモダリティに変容や変化を起こしていく時に、

メタファーを通して得られる心理状態は重要な情報になります。

サブモダリティについては、こちらの記事をご覧ください。

『サブモダリティ』とは ‐ 感情、思考、思い込みに影響を与える

■二次利得

二次利得とは、NLPでは肯定的意図と呼ばれ、人が起こす一見ネガティブな行動の中にも無意識の中に何かしらのポジティブな目的がある、という考え方です。


NLPは、セラピーやカウンセリングの分野から生まれたものですが、ネガティブなクライアントを確実に改善していったアプローチの重要な考え方です。

望んでいない、好ましくない状態があることによって守られているもの、安心や安全といった状態を手に入れていることがあります。


例えば、体が悪いことによって、周囲から優しくしてもらえるとか、子どものことを心配しておかないと親の責任を果たせていない感覚になるとか。

悩んでいることは問題ではなく、その問題を通して、本当に手に入れたいものは何か。そこを理解することで、本来の問題解決があります。

雑草は、ご存知の通り、草の部分だけ抜いても、根が残っていれば、たとえそこがコンクリートであっても必ずまた生えてくるように、

私たちも同じように好ましくない状態や状況を持つことによって手に入れようとしている根っこを見つけないと、繰り返し同じことがおきるわけです。


二次利得、NLPの「肯定的意図」は、まさにその「根」の見つけ方になります。

相手の本当に望んでいるものは何か。本人が気づいていないわかって欲しいことや手に入れたいことは何か、と深いレベルで相手を理解することができます。

※肯定的意図については、NLPの世界権威が書かれたこちらの記事をご覧ください。

肯定的意図:暗闇に光をもたらす肯定的意図の原則

■ニューロ・ロジカル・レベルの階層情報

ニューロ・ロジカル・レベルとは、ロバート・ディルツ氏が提唱した、人の意識、変容、成長などを6つのレベルに分けた考え方のことです。

図のように階層化されいて①環境、②行動、③能力、④信念・価値観、⑤自己認識、⑥スピリチュアルのレベルがあり、マネジメント、人間関係、子育て、恋愛など様々な場面で活用されています。

相手を理解する、このことでお伝えすると、環境レベルでは、どこで誰といるのか。

行動レベルでは、何をしていて、何をしていないのか。

能力レベルでは、どんな能力があって、どんな能力がないのか。

信念・価値観では、どんな考え方や信念で、何を大切にしているのか。また何を避けたいと思っているのか。

自己認識やセルフイメージはどうなっているのか。そしてその人のビジョンは何か。

こんな視点で相手を理解していきます。

問題が生じているとすれば、どのレベルで起こっているのかを見ていく指標にもなるのがこのニューロ・ロジカル・レベルです。

環境レベルの問題なのか。行動レベルの問題か、また能力レベルの問題なのか、そんな視点を持ちながら相手の話を聞いて、相手の世界観を理解していきます

※ニューロ・ロジカル・レベルについては、こちらの記事をご覧ください。

ニューロ・ロジカル・レベルとは?基本的な考え方と活用方法を解説

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■メタプログラム

メタプログラムとは、その人の動機や何に注意を向けやすいか、何で効率が良くなるか、やる気がなくなるか、といった人の無意識の情報フィルターのことです。

相手のフィルターがわかることで、その人がどんな考えをするのか、どんな行動をするのかの傾向を認識できます。

それがわかってくると、どのように相手に伝えるのか、相手が望む結果に向かいやすい、適切なアドバイスができるようになります。

LABプロファイルはご存知の方もいると思いますが、LAB は、Language And Behavior の頭文字をとったもので、元々はこのメタプログラムの概念から生まれたものです。


ちなみにメタプログラムとLABプロファイルの一番の違いは、

「内向型」「外向型」と言われるもので、メタプログラムでは、ストレス時にどのように解消するといいかを意味し、内向型は1人でいる。外向型は、外に出て誰かといる、と考えられています。

LABプロファイルでは、言葉に反応するのが「内向型、非言語に反応するのが「外向型」と言われています。

LABプロファイル、メタプログラムについては、こちらの記事をご覧ください。

【人を動かす影響言語】LABプロファイル。内容・活用事例・学び方を徹底解説!

メタプログラムとは?心理学NLPの実践的なスキルを5つの事例で解説!

LAWモデルのListenだけでもこれだけの着眼点を持つのがトップクラスのNLPのコーチングスキルです。


この他、

Ask の項目では、

  • パターンの発見
  • ベスト状態を引き出す
  • 変化を作るパワークエスチョン
  • メタアウトカム

Watchの項目では、

  • 観察
  • キャリブレーション
  • 姿勢、ジェスチャ
    ※手がどのように動いているか、止めているか。
  • パターン化されたキュー

と、いったことが挙げられます。

以上が、通常のコーチングと世界のトップクラスのコーチングの違いの一部でした。


世界権威の海外の先生方は、言葉は違っていても、生徒さんや受講生の皆さんの変化をものの見事に成し遂げられます。

その理由は、現場経験が豊富なご経験だけでなく、ほんの一部ですが、

今回ご紹介した言葉以外のところに比重を置いて、その人を理解しようとする姿勢があるからこそ、言葉の壁を超えて、確かな変容を実現させることができるのだろうな、と思います。

カリスマやトップクラスのプロは、凡人が見ていないところを見ていると言われますが、まさにこういった視点で相手を理解しているのだなと改めて思いました。


私もNLPをお伝えするトレーナーとして実践という精進をし続けたいと思います。